夢日記 第78夜 出来損ない同士の友愛結婚

夢日記
08 /13 2017

こんにちは、ぽち猫です。
ダヤン君通院生活44日目…今日はよく会う飼い主さん達が揃っていたので、「いつもご苦労様。」と声をかけられたり、会話が弾んだ(休診日)。

夢日記アプリに投稿中の夢のお話です。




――ピッ…ピッ…。

機械の音だけが鮮明だった。
時々、“家族”のすすり泣く声も聞こえてくるが、私がソレに答えることはない。

ぼんやりとした視界の中で、記憶が濁流のように襲って来る。

――“走馬灯”って、こういう事を言うのか…。

私は他人事のようにソレ等を受け止め、静かに“その時”を待った。


――


白い礼服に身を包んだ私たちに贈られる、数多の賛辞と拍手。
にこやかにソレ等に答えると、親族連中が固まっていた辺りから、感涙と安堵のため息が降って来た。

「…些か、喜ばれ過ぎやしませんか?」

「お互いさまでしょうに…アナタったら。」

アハハッ、うふふっ、そう笑い合う私たちは、さぞかし仲睦まじく映るのだろう。
参列者はしたり顔で頷き合っているが、本当に私たちの事を見ている輩がこの場にいれば、そんな対応できないハズだ。

「これから、長い付き合いになりますね。」

「えぇ…出来るだけ、長く一緒に居られると嬉しいですね。」

晴々とした笑顔で誓いを立てる。
その時の“彼”の目がしっかりと私を映していたから、私も躊躇いなく頷いてみせた。


――


私と“彼”が人前式を選んだ理由は、何も格式ばったものが苦手だったからだけではない。
私たちの関係があまりにも“歪”で、他の誰でもない“共犯者”に誓いを立てるしかなかっただけだ。

「ブログと言うものを始めてみたのですが…コレ、映画化されそうじゃないですか?」

サイダーを飲みながら画面を見せてくる彼に、思わず笑ってしまった。

「“出来損ない同士の友愛結婚”なんて酷いなぁ。ただ、“理解ができない”だけなのに…。」

「でも、今の僕たちにはピッタリでしょ?…将来は僕、大先生ですね。」

神妙な顔で頷く“彼”に笑いが止まらない。
クスクスと笑っていると、手が止まったからか、小さな頭がコチラを振り返る。

「もう、おわったの?」

「うーん、もう少し…かな?」

ドライヤーで細く短い髪を乾かす。
“次男”は大人しく前を向き、“長男”は捲っていた子育て本を指差して質問してくる。

「おかあさんのおなかも、こんなにふくらむの?」

「うーん、膨らむんじゃないかな?経験ないけど、二人いるらしいし…。」

何かを納得したらしい“長男”は本の女性のお腹を撫ぜ、私のお腹も撫ぜてくれた。
“次男”は幼稚園のお友達の名前や、アニメのキャラクターの名前をブツブツと呟いている。

――“双子”は想定内だけど…全員“男の子”なのは想定外だったなぁ。

あの頃は“名付け事典”を片手に家族四人、頭を悩ませる日々だった。


――


私が“彼”と知り合ったのは、“彼”が血の繋がりのない親戚から子供を押し付けられた日の事だった…らしい。
道端で途方に暮れる“彼”と、大泣きする“次男”を必死に宥める半泣きの“長男”を見て、どうしても知らぬ顔で通り過ぎる事ができなかったのだ。

“次男”を抱き上げた時の感触で原因は特定できたが、“彼”が預かった荷物をぶちまけても、子供用のパンツすら転がって来なかった。
仕方がなくコンビニまで走ってオムツを買い、汗だくの状態でお尻を清めてオムツを着けた。

…オムツを替えるのは人生で初めての経験だったが、パッケージの裏面を見ながらだと案外、出来るものである。

――その間に“彼”等の事情を聞いて驚いた。

まだ小学校にも通えない年齢の子供を置いて行った親にではない。
“彼”が家事能力が皆無だと強調しているのに、子供を育てること自体を苦だと認識していなかった事に対してだ。

「でも…僕の家、本当に“ゴミ屋敷”なんです。お風呂と寝る為だけに帰っているので…。」

申し訳なさそうな“彼”が案内した家は、たしかに紛うことなき“ゴミ屋敷”だった。
この辺りの平均から言えば“デカめ”の家に、いろんなものが詰め込まれていたし、掃除がほとんど行われていない事が分かるレベルには汚かった。

「凄い…。どうやって生活すれば、衣服だけを清潔に維持できるんですか?」

「クリーニングに全部、出しているので…。あの、本当に申し訳ないです。」

「洗濯機は最新型のがあるのに…。冷蔵庫も大きいのに、飲み物しかない。」

「外食と宅配で…。洗い物が苦手でして…。」

「そりゃあ、こんな“バッチィ”水場は使いたくないですよね。…このお風呂、よく入れますね?」

「銭湯がどうも苦手で…。本当にすみません。」

「一回も行ったことがないですけど…でも、きっと銭湯の方がリラックスできると思いますよ。」

子供たちはあまり抵抗がないように見えたが、家主である“彼”は恥ずかしさと申し訳なさで涙目である。
好奇心旺盛な“次男”がゴミの山を崩し、“長男”が慌てて拾い上げてオドオドとコチラの様子を窺っているが、“彼”もそれどころではない。

私が得意でもない家事を不器用に熟すだけで、称賛される地位を手に入れてしまった瞬間であった。


――


その後も四人で色々と“やらかした”が、私たちの関係が“家族のようだ”と形容されるまでに、そう時間はかからなかったし、“もう家族で良いか”と済し崩しに認め合うまでも時間はかからなかった。

「僕、幼少の頃から結婚なんて考えられない“質”なんですよ。」

「奇遇ですね、私もです。」

「それが今では二人の子持ちです。人生って不思議ですね。」

「そうですね。あと数か月もすれば、さらに子供が増えますよ。」

「…まさか、本当に子供を授かるとは思いませんでしたよ。」

「…こういうのを、“発想の勝利”って言うのでしょうか?」

「さぁ?でも、コレはコレで僕ららしいですよね。」

私と“彼”は、自他共に認める“理想的な夫婦関係”を築いた。
…少なくとも、私達は“お互い以外とは、絶対に夫婦にはなれなかった”ということを認識し合う仲だ。

――それが“利害の一致”からの関係で、お互いに“恋愛感情”を抱いていなくても…。

私達は同じ苗字を名乗る事に抵抗はなかったし、子供たちに“弟か妹が欲しい”と真剣な表情で言われた時も、困惑しただけで二人で“解決策”を模索したくらいだ。

“恋人”にはなれなくても、私達は間違いなく“家族”だったし、唯一無二の“戦友”だった。


――


「母さん…お願いだから、死なないで。」

我儘を言わなかった“長男”の言葉に、笑みが零れた。
“長男”の顔には絆創膏が貼られていたが、私はちゃんと“守れた”ようだ。

「おかあさん、おねむなの?」

甘えん坊だった“次男”が、何も理解できていない“三男”を抱きしめている。
姿が見えない“彼”は、どうやら“四男”の様子を見に行っているようだ。

――なかなか、どうして…良い人生だったじゃないか。

歩道に乗り上げた車の先にいた“長男”。
走り寄って、まだ小さな身体を突き飛ばした私。

――“子供”の無事を確認できるだけの時間があったのだから、幸運だ…。

視界が暗転した瞬間…“おはよう”と“彼”は言った。


――


「そろそろ、帰るよ。」

紅色の苞葉が、“彼”の言葉に反応するように揺れた。

――あれから、“十年”の時が経った。

“彼”は未だに家事が全くできないままだが、しっかりと“子供”たちを守っている。

“長男”は少しだけ“弟”達に対して過保護すぎるが、立派に“彼”の手伝いを熟している。
“次男”は幼少期からの“願い”を叶えるために奮闘し、他の“家族”も応援している。

“三男”は「世界的にビッグなスーパースターになる!」と宣言し、役者の真似事を始めた。
…“彼”は「流石は母さんの子だ!」と大絶賛しているが、“将来は大先生”と宣っていたのは、他でもない“父親”の“彼”である。

そして、身体の弱かった“四男”である“僕”は、こうして“墓参り”に参加できるくらいには丈夫に成長した。

「…やっぱり、複雑?」

「なにが?」

「分かっているのに、知らないフリをするところは変わらないね。」

「知っていたら、怖いでしょうに。」

アハハッ、えへへっ、そう笑い合う“二人”は、さぞかし仲睦まじく映るのだろう。
“兄弟”は静かに頷き合っているが、“事実”に気が付いている輩がこの場にいれば、そんな対応できないハズだ。

「これからも、長い付き合いになりますね。」

「そうですね…出来るだけ、長く一緒に居られると良いですね。」

墓前に供えられた千日紅に誓いを立てる。
その時の“彼”の目がしっかりと“僕”を映していたので、“僕”は何も知らないフリをして頷いた。


ーーここから夢の感想ーー

お花に詳しくはないので、花図鑑の写真と睨めっこして「おそらく“コレ”であろう。」と思える花を探しました。


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コメント

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Re: 夢で走馬灯って凄いですね!

こんにちは!
ブログ訪問&コメントありがとうございます!

かなり不思議な印象を受けた夢でした。
でも、見ていて“怖い”とかの感情が一切なかったので、良い夢だったと思っています。

こういう人生を送るのも、悪くないですね…。

お優しいコメント、本当にありがとうございました!

夢で走馬灯って凄いですね!

こういう人生体験な夢も素敵ですね…
私も見てみたいです!

ぽち猫

初めまして、ぽち猫です。
猫とカタツムリと同居中の機械音痴です。

主に夢日記、とび森&ポケモン関連のプレイ日記を書いていこうと思っています。
…思っているだけです。
あくまで思っているだけで、予定はいつでも未定です。

ゆったりのんびり、猫のように気ままなブログを目指して頑張ります。