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夢日記 第99夜「夢見る天使いの瓶」

夢日記「Dream Diary」
09 /29 2018

こんにちは、ぽち猫です。
久しぶりに“夢日記”を読み返していたのですが、あまりの誤字脱字っぷりに苦笑いすら浮かびませんでした…(ちゃんと毎回、見直しているんだけどなぁ…)。

「夢日記アプリ」に投稿中の“夢”の物語です。




「…さぁ、君の“選択”を教えてほしい。」

目の前には、憎たらしい程に整った顔立ちの青年。
手の中には、幻想的な輝きを放つ液体が満ちた瓶。

――コレを飲めば、君は…。

私の選択は、ずっと前から決まっていた。


――


網入り硝子を通して、柔らかな日差しが室内を照らしている。

漫画や小説がギッシリと詰まった本棚。
年季の入った衣装箪笥と、不釣合いに大きなベッド。

大小、様々な大きさの動物のぬいぐるみや、馴染み深いゲームのキャラクターの玩具が散らばっていた。

「…。」

私は一心不乱に、大きな積み木に手を伸ばす。

――二つを立てて、一つを乗せる…。

滑らかに整えられた木の塊を掴み、高く積み上げていく。

「…満足した?」

出来上がった“芸術作品”を感慨深く眺めていると、聞き覚えのない声が聞こえた。

「…どちら様?」

積み木の隙間に目を凝らすと、声の主…だと思われる柔らかな色合いの瞳が、ニッコリと細められる。

「初めまして、僕は“天使”です。」

背筋を伸ばし、顔を上げた。
その動きに合わせるように、朗らかな微笑の位置も高くなる。

「…てんし?」

「はい!正真正銘、紛うことなき天使です!」

自称、天使の彼は笑う。
思わず拝みたくなる程の美しい表情で、笑っている。

「うわぁ、胡散臭い…。」

「酷い!」

ぷくーと頬を膨らませてプリプリと怒り出した彼は、確かに美しかった。
具体的に“何”が美しいのかは説明できないが、とにかく美しい顔だった。

…しかし、だからこそ“関わってはいけない”という、本能的な恐怖が過ぎる。

「心配ご無用、安心してください!他に適切な呼称がなかっただけで、天使という名前に深い意味はありませんから!」

「…さいですか。」

コホンと、態とらしい咳払い一つ。
気を取り直したかのように振舞いながら、彼は右手を上げた。

「君は、“夢”というものに興味を持っているようだね?」

「えっ?そうだったんですか?」

「いや、僕が君に訊ねているのですが…。」

「そう言われても…。別に、そこまで深く意識している訳ではないのが本音ですし…。」

キョトンと固まる彼には申し訳ないが、私は正直に自分の気持ちを説明する。

「そりゃ、昔から夢をよく見る…いや、夢をよく覚えているタイプの人間だったから、“普通”よりも馴染み深かった事は否定しないけどね。」

何度も見たくなるような面白い夢に、二度と見たくないような怖い夢。
思わず「ワケが分からないよ…。」と、呟いてしまうようなヘンな夢。

それこそ、数え切れない程の夢の世界を堪能してきたし、これからも見続けるのだと思う。

「…でも、それが“特技”だと思った事は一度もないよ。」

肩を竦めて、苦笑い。

「無意識の中で行われている日常の一部を切り取って、わざわざ悦に入る事もないでしょう。」

思い通りに夢を見られる訳ではない。
夢の世界を制御している訳でもない。

――ただ、寝ていた時に見た夢を記憶するだけの能力…。

「成る程。では、自分の意思で、自由に夢を操る事が出来るとすれば…。君は、どうしますか?」

満面の笑みを浮かべて、彼は右手を振る。

不健康そうな私の青白い肌と違い、光り輝くように白い肌。
爪の先まで美しい彼の指を見て、私は何とも言えない気持ちになった。

「…えらく微妙な表情をしていますが、別にヘンなものではありませんよ?」

眼前まで近付いてきた彼の手の中から、チャプチャプと水が揺れる音がする。

「ただ、飲めば夢を自由自在に操れるようになれる…ただの不思議な“水”が入っているだけですよ?」

手渡された物は、魔法の薬か…。
それとも、禁忌なのだろうか…?


――


手の平より、少しだけ大きな瓶。
硝子の表面にラベル等は貼られていない。

窓から差し込む日の光に透かして見ると、透明な瓶の中で青色の液体が揺れている。

「…コレはなんですか?」

「先程も説明しましたが、飲むと自分の思い通りの夢を見る事が出来るようになります。」

チラリと彼の表情を窺ってみるが、その得意げな表情に“嘘”はなかった。

「“夢の中だけでも…”。そう願わずに生きていける人は少ないでしょう。」

恋焦がれる相手との甘い時間。
数多の世界を渡り歩く冒険譚。

――語り部の消えてしまった、続きのない物語の先すらも…。

「望み通りの“結末”に、君は旅立つ事が出来る。」

彼の言葉に耳を傾けながら、私は瓶の中の液体を眺める。

それを例えるならば、星空を溶かした海の色。
吸い込まれてしまいそうな程の“青”の中で、キラキラと発光する粒子が見えた。

「飲むか、飲まないか…。それを決めるのは、君ですよ。」

自らが主人公となって、面白おかしく過ごすのは楽しいだろう。
もしくは第三者の傍観者として、静かに眺めるのも悪くはない。

「…本当にコレを飲むだけで、そんな凄い事が出来るようになるの?」

「えぇ、僕は嘘を吐けませんから…。でも、一気飲みは身体に悪いので、それだけはオススメしませんよ。」

真面目な顔で言う彼に、私は腹を抱えて笑った。

「分かった。私は天使さんの事、全面的に信じる事にしたよ。」

ワントーン明るくなった彼の笑顔に、告げる。

「…だからこそ、私はコレを飲めないよ。」

――とてつもなく勿体無いとは思っているけどね…。

そう付け足すと、彼は困ったような表情で瓶に視線を落とした。


――


「さっきも言ったけれど、私は夢に“それ以上”を求めてはいないんだよね…。」

素敵な夢は見てみたい。
悪夢は全く見たくない。

自分の意思で“正夢”や“予知夢”が見られたら、きっと生きやすくはなるだろう。
誰かの人生を追体験する事が出来れば、きっと不思議な“縁”を感じるのだろう。

――けれど、分不相応な“力”は破滅への第一歩だ。

「“偶然”に身を任せる事に否定的な人は多いけれど…。きっと、流され続ける人生だって、悪いものではないと思うの。」

“努力”を否定する訳ではないし、“根性論”が必要な時だってある。
練習すれば、ある程度の能力を身に着けられる事も、事実だろう。

…しかし、全ての“夢”が叶う事だけは、絶対にあり得はしないのだ。

「それに…。」

――もしも、本当に見たい夢だけを選別できるようになってしまったら…。

「私の夢は、きっと色褪せてしまうのだろうしね…。」

美味しい物を、お腹いっぱい貪りたい。
面白い玩具を並べて、存分に遊びたい。
柔らかな布団に身を沈めて、眠りたい。

物語の世界に飛び込んで、色々な事に挑戦してみたい…。

「それが毎日のように続いてしまったら…。」

――夢はきっと、ただの“日常”に成り下がってしまうだろう…。

「それと、私は寝ている時まで“選択”を迫られたくはないんだよ。」

同じ話ばかりを紡ぎたくない。
似ている配色は飽きてしまう。

…だけど、個人の知識や想像力には限界がある。

「思い通りにならないからこそ、夢に溺れる事が出来るのだから…ね。」

真剣な表情で私の拙い想いを聞いていた彼は、フッと肩の力を抜いて笑った。

「もっと軽く考えてくれても、良かったのに…。」

――起きてしまえば忘れる可能性の方が高い、ただの夢の話なのだから…。

息を吐き出し、彼は積み木細工に新たな木片を乗せる。
その動作をぼんやりと眺めながら、私は瓶を揺らした。

「天使さんに出会えた“奇跡”に、私なりの敬意を払っただけだよ。」

――自らの意思で選んでいれば、私は君と話す事もなかったのだろうしね。

美しい彼から手渡された、とても綺麗な色合いの液体。
それを口にしなかった事を、私は後悔し続けるのかもしれない。

――しかし、自称とはいえ、ここまで美しい天使を見る事が出来たのだから…。

「やっぱり私、おかしな所で“運”が良いんだろうね!」

「…偶然でも運でもなく、君が選んだ“必然”ですよ。」

そう訂正する彼は、やっぱり憎らしい程に美しかった。


ーーここから夢の感想ーー

おそらく、“夢日記アプリ”に投稿する“最後の夢”の話…。



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コメント

非公開コメント

写真のようにリアルなイラストですね!

ぽち猫さんの文章は実際に体験している錯覚に陥る程の描写力ですが、絵があると更に分かりやすいですね!
最後まで素敵な夢日記を読ませて頂き、本当にありがとうございました!

Re: 写真のようにリアルなイラストですね!

こんにちは!
ブログ訪問&コメントありがとうございました!

まだまだ描写不足が否めない文章ですが、“夢”の雰囲気が伝わったようでホッとしました!

“絵”についても褒めて頂き、ありがとうございます!
これからも「もっと分かりやすく、もっと楽しめる夢日記!」を目指して、頑張りますね!

お優しいコメント、本当にありがとうございました!

ぽち猫

初めまして、ぽち猫です。
猫とカタツムリと同居中の機械音痴です。

主に夢日記、どう森&ポケモン関連のプレイ日記を書いていこうと思っています。
…思っているだけです。
あくまで思っているだけで、予定はいつでも未定です。

ゆったりのんびり、猫のように気ままなブログを目指して頑張ります。