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夢日記 第28夜「雲造る星の粒」

夢日記「Dream Diary」
01 /06 2017

こんにちは、ぽち猫です。
最近の猫達のマイブームは、“紅茶ポットを倒して回る事”…らしいです。

「夢日記アプリ」に投稿中の“夢”の物語です。




…それは確かに、世界が形作られる瞬間だった。

大地が、揺れている。
そんな錯覚を抱く程の轟音に、私は文字通り叩き起こされた。

夢と現が判然としない寝起きの頭で身動ぎする。

――裏手の商店街でまた、“阿波踊り”でもやっているのか?

踊っている人は、さぞかし楽しいのだろう。
見物する人達も、さぞかし愉快なのだろう。

しかし、それに参加していない人間にとって、その賑やかさは…ただの騒音でしかないのだ。

――うっせなー、こんちくしょう…。

私はカーテンの閉められた部屋で悪態を吐く。

私の身体は幼い少女の姿に戻っていたが、身体に蓄積された疲労の数々は大人のソレだ。
特にコレは、徹夜で絵を描き切った時に感じる疲労感だ…と思う。

…幼少期に自由帳すら使い切った事がない私には、無縁だったハズの疲れが支配している。

のっそりと起き上がり、辺りを見渡す。

昔あった大きなベッドに座り込む、小さな身体。
しかし、その時代には置いていなかったハズのおぜんの上には、確かに私の描いたイラストと色鉛筆などの相棒が転がっていた。

――眠い…。

霞む視界が寝ろ…、と伝えてくる。
睡眠の権化と揶揄される私に、徹夜は苦行でしかない。

…もう一度、枕に顔を埋めようと身体を傾ける。

――どんがちゃっちゃ、どんがちゃっちゃ、シャンシャンシャンシャン…。

私は少しだけ身体を倒した体勢のまま、思案する。

――うる、さい…。

仕方がなく起き上がり、部屋を出る。

曇りガラスはキラキラと光っている。
少しだけ温かさを感じる程に温められた階段を降りる素足は、寝不足のふらつく身体にしてはペタペタと軽やかだ。

――あー、眠いわ…。

睡眠不足で回らない頭では、今すぐ枕を被って爆睡する事を勧めてくる。

しかし、睡眠欲に抗おうとするかのように身体が動くのは、騒々しい外の世界が恐ろしく魅力的…なのかも、しれないからだ。

もしかすると、この瞬間に私の背中を押した“気まぐれ”も、何処ぞの“神”の思し召しであったのかもしれない。

…そして私は、創世の瞬間に立ち会ったのだ。


――


商店街へと足を踏み出した瞬間、部屋の湿った空気とは異なる熱気が私の肌を撫でた。

雑踏に歓声。
のど自慢…という名のカラオケ大会でも行われているのか、あまり聞きたくないキンキン声も聞こえてくる。

部屋の中からでは考えられない程の大音量の数々に、脳内の処理回路が焼き切れてしまいそうだった。
…深呼吸をして落ち着こうにも、香しすぎる屋台の匂いに咽てしまう。

――やっぱり、部屋で寝ていた方が良かったかも…。

後悔が嵐のように沸き起こる中でふと…、視界に影が差した。

「おやおや…。珍しいお客さんだね?」

低く、穏やかな声。
見上げると、私の背丈の倍以上の高度からコチラを見ている男性と目が合った。

「…お兄さん、お店の人?」

私の発言に、深い意味は特になかった。

昨今の危機管理の刷り込みから、幼子に声をかけてくる男性はその場所で商売をしている人間しかいないだろう、という発想からだ。
そして“お兄さん”と呼びかけたのも、その男性に髭が生えていたり、子供目線からも「コレは“年寄り”。」という判別が出来る程、歳を食っているようにも見えなかったからだ。

…今から考えると、とても若い男性だったのかもしれないが、子供から見れば大人は全て、例外なく“大人”であって、大人以上の区別がほとんど付かないものなのだ。
「“おじちゃん”と呼べる程、“じじい”じゃない。」生き物は全て、「お兄ちゃん。」と呼んでいれば間違いはない。

目の前にいる男性も、私の発言に疑問を抱いた様子は特にないようで、頷き肯定する。

「君は、あまり祭りに来ないだろ?だから、珍しいお客さんだ。」

今度は私が頷き、肯定する。

私は、“冬”にしか祭りに行った事がない。
薄っすらと汗をかく時期に祭りに足を踏み入れた事は、ただの一度もないのである。

「暇なら見ていくと良い。」

――君が客寄せになってくれるなら…ね?

“建前”と“本音”は、セットで言う物だ。
裏が判れば、こちらも相応の対応を返せば良いだけなのだから…。

私は仕方がないな…、という本音を醸し出しながら、子供らしく元気に頷いてみせた。


――


お兄さんの右手には、何やら細い棒が握られている。
私はそれを目で確認し、そしてお兄さんが営む屋台が何であるのかを、ぼんやりとだが認識した。

空いた左手で、お兄さんは粗い小石のような物を目の前の機械に流し入れると、シャラシャラ…と機械内を跳ねる音が響く。

――そして少しすると、もくもく…と、白い“綿雲”が湧き出て来たのだ。

空に浮かぶ白い雲を実際に間近で見た事はないが、それは確かに雲だった。
果てしない、青空に浮かぶ雲と…全く同じ雲だった。

…今この瞬間。
お兄さんの手の中で、世界を流れ旅する雲が生まれたのだ。

私はいつの間にか、キラキラと輝きを放つその光景に見惚れていた。


――


お兄さんは出来上がった綿雲を細い棒へ器用に巻き付け、あっと言う間に塊へとまとめてしまう。

お兄さんが棒を動かす度に、収まりきらなかった雲の欠片がふわふわと羽根のように舞った。
光に反射して輝き舞うその光景すらも息を吞む程に美しく、まるで幻想世界に迷い込んでしまったかのようだ。

私にも降り注ぐソレをこっそり吸い取ると…ほんのり、甘い。

――どうやら雲には、甘い味が付いているようだ…。

幼い私は頷き、そして電流が流れるような衝撃を感じて閃いた。

お兄さんが機械に流し入れているのは、雲の原材料。
それは他の屋台に鎮座する、鼈甲飴のような色の小石。

そして辺りに漂う雲の欠片がキラキラと輝いているところから憶測するに…。

――きっと、あれは夜空に瞬く星という物なのだろう…。

夜の星が太陽の熱で溶かされて、昼間は雲になるのではないだろうか?

――そして、魔法の杖を振るってそれを操るお兄さんの正体は…。

最初の頃に抱いていた、“暇潰し”という気持ちは消えていた。

幼い私は現金にも、自らの発想に胸をときめかせて…大きく息を吸い込んだ。


――


「神さま、ただいま帰りました!」

イタズラっ子のような顔で、おどけた調子で笑う男性。
過去の私が見れば、それは「そろそろ“おじちゃん”と呼んでも構わない…かもしれない。」と葛藤する見た目になった…元お兄さん。

私は画面から目を離さずに、はいはい…と、気のない声で返事する。
元お兄さんは少し寂し気な表情で口をもごもごと動かし、近付いてくる。

「昔の君は、喜んで受け取ってくれたじゃないか…。」

ぶつくさと拗ねる、元お兄さん。
私は自分よりはるか年上の“おじさん”となった彼に、溜め息を吐いて言う。

「私は綿菓子が好きなのではなく、綿雲を創り出す君を見るのが好きだったんだよ。」

キョトンとした顔でこちらを見やる、元お兄さんが持って来た綿菓子の入った袋を奪う。
…すんなりとそれを受け入れる元お兄さんからは、私の大好きな甘い“香り”がした。


ーーここから夢の感想ーー

実際には屋台に吊り下げられた物を買うくらいなので、作る工程は一度も見た事がない…。



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コメント

非公開コメント

本当に小説みたいで、格好良いですね!

私も子供の時は、今よりも曖昧な感覚でオジサンの境界線を区切っていました…

Re: 本当に小説みたいで、格好良いですね!

こんにちは!
ブログ訪問&コメントありがとうございます!

“小説のような夢日記”を目指しているので、そう言って頂けて本当に嬉しかったです!

子供の目線から見ると、高校生だって十分“大人”ですからね。
…そう考えると、“自分より年上~お爺さん手前”は全員、漏れ無く“お兄さん”という事になるのでしょうか?

お優しいコメント、本当にありがとうございました!

ぽち猫

初めまして、ぽち猫です。
猫とカタツムリと同居中の機械音痴です。

主に夢日記、どう森&ポケモン関連のプレイ日記を書いていこうと思っています。
…思っているだけです。
あくまで思っているだけで、予定はいつでも未定です。

ゆったりのんびり、猫のように気ままなブログを目指して頑張ります。