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夢日記 第98夜「廃校探検と長実雛芥子」

夢日記「Dream Diary」
05 /25 2018

こんにちは、ぽち猫です。
物凄く長い夢を見た時に、どの場面で区切るべきなのかが悩みどころです…(あと“題名”を考えるのも毎回、頭を抱えるくらいには悩んでおります…)。

「夢日記アプリ」に投稿中の“夢”の物語です。




いつもより、早い時間。
いつもより、遠い駅。

余裕を持って乗り込んだ電車は、何故か見慣れぬ駅で停まったまま。
人の少ない電車内で、たまたま乗り合わせていた同級生と一緒に数学の教科書をペラペラと捲る。

「まだ、動かないねぇ。」

「そうやね。」

「なんか、放送でメッチャ喋っとるけどさ…?」

「滑舌が悪すぎて、なに言ってんのか全く聞き取れんね。」

「…だよねぇ。」

行儀悪く椅子に膝を突き、無音を維持する駅構内に目を向けた。
開いたまま固まってしまったドアの向こうには、忙しなく階段を上り下りし続ける大人の姿がチラホラ見える。

私は退屈さを溜め息に乗せて吐き出し、数式の羅列に目を落とした。


――


そこは不思議な空間だった。

埃っぽい空き教室。
薄暗い空間には青白い靄がかかり、不気味な雰囲気を醸し出している。

窓の方向に向いていた身体を反転させ、開いていた教卓側の扉に近付くと、ステンドグラスのように透き通った羽が二枚、にょきりと眼下に広がった。

――うわっ、ウスバカゲロウ!

引き戸の枠にしがみ付き、不自由な動きで右側の羽を上下に開閉させ続ける昆虫。
その神秘的な模様の羽は透明で美しかったが、身体は一瞬、身構えてしまうくらい大きい。

私は黒板用の大きな定規ほどもある巨大昆虫を刺激しないように、静かにその横をすり抜けた。

通り抜け様に横目で観察した昆虫の身体は見目悪く、左側の羽がもぎ取られている。
しかし、その不恰好さが歪に荒廃した学校にはよく似合っていた。


――


廊下に出ると、薄暗さが増した気がした。

右手側には先ほど出て来た空き教室に繋がる引き戸。
左手側にはトイレに続く扉と、読書スペースの畳が見える。

そして後ろ手には図工室、前方には…。

――蜘蛛…?

黒い身体に長い足。
尖った爪先がコンクリートの床を撫ぜる度に、背筋がゾワリと粟立つ。

――で、デカい…。

消火器二本分の胴体。
曲げられた足は細いが、それでも掃除に使うホース並みの長さと太さを誇っていた。

――敵意は感じないけど…。

モシャモシャとコチラに向かってくる蜘蛛は、見た目の不気味さからは考えられない程に愛嬌のある動きをしていた。
まるで、人に飼い馴らされた子犬が愛らしくヨチヨチと歩み寄るかのように、節くれ立った長い足を私に向けてくるのだ。

――私には無理だ…っ!

その爪先が左手に触れた瞬間。
私は弾けるようにソレを振り払い、ロッカー側の扉を潜って空き教室に逃げ込んだ。

――机、邪魔っ!?

所狭しと並べられた机や椅子を避けるようにトロトロとした動きで逃げる私を見て、蜘蛛は逡巡するかのように上げていた足を動かしていたが、考えがまとまったのか、何処となく嬉しそうな動きで私を追いかけてきた。

それは犬に慣れていない子供が威勢の良い子犬に追いかけられているかのようなシーンだが、逃げているのは虫嫌いの私だし、追いかけているのは可愛らしさの欠片もない大蜘蛛である。
戯れるように私の足に蜘蛛はすり寄ってくるが、その平均よりは遥かに大きいとはいえ脆そうな見た目の足を踏まないように両足を動かす私は必死の形相だ。

這う這うの体で何とか窓際まで移動する事は出来たが、窓枠全面に張り巡らされた蜘蛛の巣を視界に捉え…私は動きを止めてしまった。

――プシュー。

「ファッ!?」

その隙を蜘蛛は見逃さなかったのか、蜘蛛は私の左半身に糸を吐き出す。
ネチョリとした嫌な感触が左手の甲を伝い、ズボンの太もも部分に染み込んで来た。

――ひぃー!

ゾゾゾッと怖気立ち、慌てて左手に付いた糸をズボンに擦り付ける。
半狂乱で手を動かす私を見て蜘蛛は満足したのか、ゆったりとした動きでカーテンに張られた蜘蛛の巣に身体を落ち着かせた。


――


「仕方がないんよ。蜘蛛の遺伝子組み換えは難しいものだからね。」

突然、頭に響いたS三号さんの声にハッと顔を上げると、先ほどまでの暗い教室が嘘のように明るく電灯で照らされていた。
目を白黒させて教室の前方に目を向けると、大小さまざまな大きさの水槽が積み上げられている。

「へぇ、そうなんだー。やっぱり蜘蛛は難しいんですね。」

「そう。タコとかイカの方が、よっぽど簡単なんよ。」

わざとらしい声音でしきりに感心してみせるS二号さんと、S三号さんの説明を聞きながら、私はブクブクと忙しなく泡を吹き出す水槽を覗き込む。

――あら、可愛い…。

五百円玉くらいの大きさの丸い蛸と、電動鉛筆削りが「これ以上は削れません。“寿命”です。」と受け付けてくれなくなるほど短くなった鉛筆くらいの長さの烏賊が、水槽の底に設置された小さなライトの光を浴びてプカプカと上下運動を繰り返していた。


――


「ずっと聞きたかったんだ。“あの日”、どうして“いつもの場所”に居なかったの?」

廃校の一番、奥。
澄んだ空気が当たり一面に漂う中で、黒い学生服に身を包んだ少年が笑う。

「親に呼び出されて、違う駅に居たから…。」

毎日、同じ事の繰り返し。

同じ時間。
同じ車両。

――変わってしまった、乗客の顔。

「そっか。それだけ、ずっと聞きたかったんだ。」

満面の笑みを浮かべる少年に、私もずっと聞きたい事があった。
…ハズだった。

「あんまり溜め込みすぎちゃダメだよ。たまには思い切って吐き出さないとね?」

首を傾げる少年に向かって、パクパクと口を動かすが声が出ない。
悔しくて涙が出そうになるが、私は唇を噛み締めて目の端に映っていた橙色の花に手を伸ばす。

――相変わらず、無駄に茎が固い!

グニグニと力任せに茎を捏ねて悪戦苦闘する私を、少年は不思議そうに観察していた。

――ブチッ!

なんとか引き千切った花を握り締め、私は無言で少年の足元に四枚の花弁の付いた花を置く。

「…ありがとう。」

それは私の言葉だったのか、それとも少年の言葉だったのか…。
掠れた声は、風に吹かれて舞い上がった花と一緒に消えていった。


――


「もうやってられるか、こんなもんーっ!?」

私は大声で叫んだ。
親や親戚は目を丸くして言葉を失っているが、そんな些細な事に構っている暇はない。

とりあえず叫んだ。
涙で視界はぼやけているし、間違っても嫁入り前の娘が浮かべるべきではない形相になっている事も薄っすらとは気付いてはいたが、とにかく私は叫び続けた。

「何が不満だ?何が不服だ?んなもん全部に決まってるだろうがーっ!?」

ギロリと周囲を睨め付け、宥めようと近付いてきた親戚の手を振り払って干していた布団に手をかける。
布団を引き摺り降ろすと傍にあった戸棚も落ちてきたので、ソレを担いで放り投げると親戚は慌てて距離を取った。

「面倒事ぜんぶ押し付けてきたくせに、恩着せがましく歳若い小娘に謝礼を要求しに集りやがって…。」

押入れに減り込んだ戸棚に蒼白にある顔を見て、私はプツンとブチ切れた。

「こちとらテメェ等の都合の良い傀儡人形じゃねぇんだよーっ!?」

むんずと布団を掴み、その場でグルリと三百六十度に回転する。

――うりゃあーっ!?

狭い家だ。
布団を振り回す度に、何かに引っかかっては薙ぎ倒していく。

…一応、物に当たりそうだと気付いた時に布団を持ち上げたりはしていたが、回転速度が速すぎて制御が出来ない。

――あぁ、また何か落ちた気配がする…。

物に当り散らすタイプの人は、毎回この罪悪感と戦っているのだろうか?
私はグルグルと回る視界の中で、微妙に冷静になっていた。

――なんだっけ…?なんか、こういう踊りあったよね?

誰かと手を繋ぎ、クルクルと円を描くように踊る…民族舞踊。
フォークダンスなんて見た事もないし、曲名なんて思い付きもしないけれど…。

――たららった、たらたら、たららららん…。

頭の中に、陽気な音楽が流れてくる。
その曲に乗せて現状を顧みると、なんだか楽しい気分になってきた。

――あーあ、本気で怒って慌てて…馬っ鹿みたいっ!?

初めて私が本気で怒ったところを見た、と驚愕する親。
あまりのブチ切れ具合に慄き、遠巻きにコチラの様子を窺う親戚達。

…そして、ひたすら布団を振り回し続ける私。

「たまには、思い切って吐き出さないとね…だっけ?」

表情こそは憤怒を体現したままだったが、私はとても愉快な気持ちで回り続けた。


――


ぼんやりとした視界の端で、錆色と鯖色の毛皮が蠢いている。
ゴロゴロと喉を鳴らして甘える猫達を適当に撫で回し、先程まで見ていた夢を思い出して…笑う。

「…なんちゅう夢を見とんねん。」

まだ寝足りない気はするし、とても疲れる夢だったとは思うのだが…。

――ありがとう…。

ちょっとだけ、スッキリした。


ーーここから夢の感想ーー

つい最近(具体的に言うと十日くらい前)まで、ウスバカゲロウの事を“蝶々”の一種だと思っていました…。
*わざわざ名前に“蜉蝣”と付いているんだから、まずは“蜻蛉”のような形を想像するべきですよね…。



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コメント

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大きい虫は怖いですよね!

私もフォークダンスを踊った事がないので、曲の名前が分かりません…

Re: 大きい虫は怖いですよね!

こんにちは!
ブログ訪問&コメントありがとうございます!

“虫”は見た目や動き、生態を全部、含めて怖いですよね…。

昔は「学校行事で気になるあの子と…!」というシチュエーションに憧れを抱いていましたが、まず実生活で“フォークダンス”という言葉自体が使われていないのが現状ですし…。
私は“盆踊り”すら未体験なので、いつかは踊ってみたいものです。

お優しいコメント、本当にありがとうございました!

ぽち猫

初めまして、ぽち猫です。
猫とカタツムリと同居中の機械音痴です。

主に夢日記、どう森&ポケモン関連のプレイ日記を書いていこうと思っています。
…思っているだけです。
あくまで思っているだけで、予定はいつでも未定です。

ゆったりのんびり、猫のように気ままなブログを目指して頑張ります。